「。」じゃなくて「、」で繋ぐこと: パレットキャン2022年5月レビュー


※英語で書かれた記事を翻訳した文章です


パレットキャンプのやっていることは本来、この世では受け入れられないはずのものだ。何故かって、見知らぬ人たちを「退屈」で「空虚」と形容される場所に集め、ツアー後も続く長期的なコミュニティの構築を目指すことに、誰が賛同するだろう。それでも、パレットキャンプを通じてここに集まった人々が互いのことを、そしてこの地域のことをもっと知ろうとする姿を見る度に、私はその意義を感じる。今回のツアーも相違なかった。


今回のツアーの大きな変更点といえば、訪問先である。これまで2回のツアーで訪れた双葉町、富岡町とは違い、今回は双葉町に加えて浪江町を訪れた。様々な場所を訪れるのは、パレットキャンプが福島の沿岸地域、「浜通り」のカラフルな地域色を皆様にお伝えしたいと考えているからである。町々のそれぞれの特色が、浜通りを描く鮮やかなパレットを生んでいるのだ。


初めは堅かった雰囲気も、浪江町地域スポーツセンターでの他己紹介(ペアを組んでお互いのことをみんなに紹介するアクティビティ)を通じてすぐに和らいだ。その後道の駅なみえに歩いて向かったのだが、道の駅で見た「無限」しらす丼にはほとんどの人が口をあんぐり(お察しの通り、盛り放題!)。お腹いっぱいになったあと、私たちは地元の農園を訪れた。農園を運営する起業家の髙橋大就さんから、この地域で農業をする意味、努力、そして肥料にも害獣駆除にも役立つヒトデについて語っていただいた。


農園を後にした私たちが次に行ったのがクエストビンゴゲーム(詳しくは公式サイト「ツアー行程」を参照)!三つのチームに分かれて町を練り歩き、夜の宴会で必要になるポイントを集めた。私個人としてはツアーを通じて目にしたポケモンの数に未だにびっくりしている。子供の頃インドで(筆者はインド出身である)友達と、誰が一番多くポケモンの名前を言えるかを競ったことが懐かしい。

日没の頃に私たちは宿に着き、地元の食材を用いた美味しい和食をいただいた。食後は和室の宴会場でビンゴゲーム。マサくんと私はゲームの舞台となった町内の各ポイントに関連した豆知識を紹介した。一等のNintendo Switchは高校生が見事獲得!(めっちゃ羨ましい)




日本といえば、共同浴場。私たちが宿泊したホテルには温泉気分を存分に楽しめる大浴場があった。入浴後に私とマサくんは日清のカップ麺を買ってコテージの外でプラ(参加者の一人)が星空を撮っているのを見ながら麺を啜っていたのを覚えている。この時にはもうほとんど参加者と主催者との境界はなくなり、自然と一つのコミュニティを形成し始めていたように感じる。


次の日私たちは朝ヨガをするべく広場に集まり、体を存分に伸ばした。私のことをよく知っている人はお分かりだろうが、私は全くもって運動音痴である。ただ、そんな私でもヨガだけはインドにいた頃学校で12年間もしっかりやっていた。プロではないものの、毎日続けたヨガはいつしか私の習慣になった。私たちは「スーリヤ・ナマスカール」と呼ばれるヨガの呼吸法を実践し、その後朝食に向かった。

朝食後、宿を後にした私たちは、浪江駅まで歩いて向かった。道中、実に多様な内容の会話が耳に入ってきた。誰かは来週以降の予定の話をしていたし、また誰かは秋田の厳しい気候について話していた。中にはアイデンティティと存在意義について話している人もいた(中々重い話題である、笑)



双葉町に着くと、山根さん(双葉町民、起業家、そして地元の議員さん)は私たちを連れて町を案内してくれた。山根さんは特に双葉町のアート、文化、そして歴史について語ってくださった。山根さんはまた、私たちを双葉にある奥さんの前の実家に案内し(今は空き家)、家や家族を持つことの意味、大切さを教えてくれた。ツアーの最後には多くの人がカメラを持って、双葉の景色を写真に収めていた。


昼食の後、私たちは絨毯のように大きな白い紙を準備して、「メモリーマップ」を作成した。パレットキャンパー(参加者のことをそう呼んでいる)達はツアーの感想や将来の双葉に見たいものを思い思いに書き記す。ポン(参加者の一人)は国道6号線を時速60,000キロで走る車を見たいと書いていた。(この記事を書き終えたらイーロンマスクに彼のアイデアについて話してみようと思う。笑)


冗談はさておき、メモリーマップに書かれたものを見ているうちに、私は希望を感じてきた。「誰も希望を見出せない(出さない)場所でそれを見出す大胆さ」を、マップに見たのだ。双葉に来て、将来の夢を描くこと。それがどれだけ大きな意味を持つだろうか。アイヌン(参加者の一人)は「ありがとうの美術館 (Museum of Gratitude)」を描き、きよか(参加者の一人)は初發神社から着想を得た和風建築のカフェを提案してくれた。マップに書かれる一筆一筆が、他のアイデアに影響し、さらなるアイデアを生んでいく。




パレットキャンプを始めたばかりの頃、運営側の私たちでさえ、正直この活動がどんな結果を生むのか、意味があるのか、わからなかった。しかし、3回のツアーを終えた今、私はこの地域に漂う「不可能」という幻想が、パレットキャンプを通じて少しずつ消えていくことに満足以上のものを感じている。そう、まさに光はこうした亀裂から差し込むのだ。


2022年5月のパレットキャップは終わった。ツアーとしては。しかし、道はここからである。次に何が起こるか本当に楽しみで、きっとそれが私を動かす原動力なんだと思う。もしあなたがパレットキャンプをひとことで形容しろと言うのなら、私はこう言おう。「これは句点を使わず読点で繋ぐ物語なんだ」、


翻訳: マサ(小林 雅幸)


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